IMR(リカバリーと病気の自己管理)研究会は、当事者主体の双方向性のプログラムによる精神障害者のリカバリー法を研究しています
<社会福祉協議会におけるひきこもり状態にある人への支援に関する調査についても本HPでご案内しています>
<住所>〒181-0015 東京都三鷹市大沢3-10-20 ルーテル学院大学 コミュニティ人材養成センター
*大学は2025年度より募集停止となりましたが、2024年度入学された学生全てが卒業するまでは大学として存続します。24/3/25追記
<お問合せはこちら>recoverynokotsu(アットマーク)yahoo.co.jp *23年7月8日に@以下を変更しました
こんにちは。IMR研究会の責任者の福島喜代子です。
IMR(リカバリーと病気の自己管理)プログラムについては、2007年度より実践と研究を積み重ねています。これまで、多くの人々のご協力をいただき、積み上げてきました。
これまでなかなかまとめてこられなかった、全国での本研究会の頒布資料の活用状況を整理し、まとめてみました。Webサイトのトップページに詳細が書いてありますので、ご覧ください。
*一つは、都道府県別の活用状況です。2014年度から2023年度まで、本研究会の頒布資料を取り寄せていただいたのは、38都道府県、253回となりました。ありがとうございます。(同じ機関が複数回お求めいただいているところもカウントしています)。このほか、試行的実施や効果検証の研究にご参加いただいた事業所が多数あります。
*もう一つは、機関のタイプごとの活用状況です。同じく、2014年度から2023年度までに、機関別では、23種類の機関で、延べ328か所で頒布資料を取り寄せいただき活用いただいていました。(同じ機関が複数お求めいただいているところもあります。また、一度の頒布で複数の機関でご利用のところは、それぞれの機関ごとに集計いたしました。)
*障害福祉サービスあるいは就労サービスで11の種類の機関、47か所でご活用いただいていました。
*医療機関で8種類の機関・部門、268の機関でご活用いただいていました。
*その他、セルフヘルプグループ、保健所、教会、大学の勉学のためにご活用いただいています。
(2024/3/25追記)
♪☆♪☆♪☆♪作成までの取り組み♪☆♪☆♪☆♪
最初に、ルーテル学院大学にて研究会の開催を始め、多くの方に参加いただいてきました。研究や活動を開始した頃、久留米大学や横浜市立大学の方々のご協力やご教示をいただき、大変感謝しています。
2008年より、東京都調布市にあるクッキングハウスにてIMRの実践をさせていただき、直接翻訳版の配布資料をルーテル学院大学版の配布資料(暫定版)を作成するにいたりました。
2009年-2010年に、東京都内の複数の障害者支援施設及び、医療機関にご協力いただき、ルーテル学院大学版配付資料を完成しました。東京都練馬区障害者地域生活支援センター「うぃんぐ」さん、三鷹市の社会福祉法人ひまわり会、立川市の社会福祉法人多摩棕櫚亭協会、吉祥時病院さん、S.S.S.さん等のご協力を得ました。当事者のフィードバック、そして、スタッフの方から、IMRを実施をした上での貴重なフィードバックをいただきました。
2011-2013年にかけて、東京都内の障害者支援施設(就労継続支援事業所)にご協力をいただきました。東京都渋谷区のNPO法人みどり会、杉並区のNPO法人TRY福祉会ゆい企画、社会福祉法人視覚障害者支援総合センターさん等のご協力を得て効果検証をしました。また、都内の事業所への質問紙調査から、EBPプログラムやIMRプログラム実施の認知度、実施意向、それらに影響を与えている要因などに関する調査を実施しました。
2015年には、北欧へ調査研究にいってきて、北欧でIMRを実施している人たちのインタビュー調査をしてきました。そして、2015年-2017年度にかけては、IMR導入支援研究を実施しました。中央区のNPO法人エヌフィットのエヌフィットキャリアカレッジ日本橋、八王子市の多摩地域IPS就労支援センターリスタ八王子、NPO法人さらプロジェクトのさら就労塾@ぽれぽれ(世田谷区千歳台)のご協力をいただき、IMRの導入支援をさせていただきました。
その後も、全国各地の精神科病院、精神科クリニック、障害福祉サービス事業所、大学・専門学校等において配布資料をご購入いただいてきています。北は北海道から南は沖縄までお取り寄せいただいています。
*ルーテル学院大学は2025年度より募集停止となりましたが、2024年度入学された学生全てが卒業するまで(最短でも2027年度まで)は大学として存続します。24/3/25追記
*少なくも、2024年度は引き続き、配布資料の頒布をいたします。24/3/25追記
これまでの経験から、各テーマのポイントやコツをお伝えします。
配布資料の活用法:利用者(患者さん)は、きれいな配布資料を受け取ると、とても喜ばれ、はりきって参加してくださいます。海外の調査研究先でもそうでしたが、どこの国でも、どこの事業所でも、長期にわたり、少しずつ、IMRに取り組んでおられました。私が頒布しているIMRの配布資料は、テーマごとに扱うことができるので、テーマごとに継続して参加している人に渡していっていただくという活用法もお勧めです(継続して参加するインセンティブになります)。
テーマ1「リカバリーについて」
このテーマのセッションでは、リカバリーについて自由に参加者に語っていただくのがいいのです。しかし、ここで時間をとられると、支援者はあせるかもしれません。テーマ1は、また立ち戻ってくるテーマです。リカバリーやリカバリー目標が定まりにくい場合は、あまりはっきり決めないで、先にすすめてもらってもかまいません。
テーマ2「精神疾患と症状について」
このテーマの配布資料は、全て読む必要はありません。参加者の状態に応じて、必要なところを確認していけばいいです。このテーマを行うと、参加者から「はじめて全体がよくわかった」というような感想がきけることが多いです。
テーマ3「ストレス—脆弱性モデル」
このテーマは、病気についての一つのモデルです。しかし、このモデルの説明が、一番病気の発生の仕組みについてわかりやすいと言われています。「なぜ、病気になったのか?」は当事者にとって、一番知りたいところでもあるのだと思います。「どうしたら、再発しないですむか」とも関係あるので、このモデルを念頭において病気とつきあっていくのが良いのではないかと思います。
テーマ4「社会の中で支え、サポートづくり」
このテーマのセッションでは、SST(ソーシャル・スキルズ・トレーニング)を行います!ここでSSTを行うのが、IMRのキモです。人は、一人では生きていけない。そして、人との関わりを、自分にとっての支え、サポートになるように築いていくことが、人生をより豊かに、また、病気の再発をできるだけ防止する、良い環境づくりにつながります。
テーマ5「服薬をうまくする」
IMRは、服薬について、原則として、ニュートラルな立場をとっています。お薬については、今は情報が得やすくなっています。日本で実施されている現場では、薬局で発行された薬剤情報を持ち寄って、自分が服用しているお薬の理解を深めたりもしています。参加者同士、確認しあうのも良い方法です。
テーマ6「再発を防止計画をたてる」
再発や、意に反する入院をできるだけ防ぐと、より安定した生活を実現しやすくなりますよね。再発をできるだけ防ぐために、計画をたてておきます。このセッションを行うと、利用者さん(患者さん)ご本人のソーシャル・サポートの状況が再確認できます。
テーマ7「ストレスに対処する」
ストレスの話題や、それへの対処の話題は、スタッフも共有できる話題で、グループによっては、スタッフも対等に自分の経験や方法を披露したりもしています。参加者とスタッフがお互いに自分の知識や考えを分かち合い、仲間意識を深めるのにも良いテーマセッションのようです。
テーマ8「問題と症状への対処」
だれの人生においても、問題や課題は起こります。大切なのは、それをどのように乗り越えていくか、といことではないでしょうか。問題をどのようにとらえ、それへの対処をどのような選択肢の中から選択していくのか。その考え方や、選択の仕方の道筋を示し、お手伝いしながら、すすめていけるよう、後押しするのに、とても良いテーマのセッションとなります。
テーマ9「福祉・保健・医療サービスをうまく利用する」
日本の精神保健福祉サービス、精神医療サービスも、日々変化します。障害者総合支援法の施行には合わせて改訂をしましたが、必ずしも、その後の新しいサービスは追加したバージョンを作成しておりません。是非、個々の現場で最新の情報も取り入れながら、また、地域の社会資源の状況も加味しながら、お話合いをしていただき、個々の参加者にとって、最善のサービス利用の組み合わせの支援をしていただきたいです。
以上、ざっと、各テーマごとのポイントなどを雑駁ですが、書き記してみました。不十分な点もありますが、参考にしていただければ幸いです。
もし、導入研修(1回、3-4時間程度)あるいは、実践をはじめてからの単発のスーパービジョン(1回、2時間程度)を必要とされる現場がありましたら、連絡してみてください。日程と条件次第でお引き受け可能かもしれません・・・(日程がなかなかとれなくて申し訳ありません)。
(2024年3月25日追記)
質問1
「月1回土曜日に新規の利用者を対象にしたIMRをする企画があり、こちらの資料を使わせていただけたらと思い、注文させていただきます。月1と次回までに日数が空く場合に気をつけておきたいポイントなどがありましたら、ご指導いただけると幸いです。よろしくお願い致します。」
お答え1
「IMRは認知行動療法を基盤としています。テーマに沿って、配布資料を活用し、テーマに沿った認知(情報や理解)をすすめること、また、行動(言動)ができるようになることを意識しています。そのようなこともあり、原則として、週に1回程度の実施をある程度以上の長さで提供することが勧められます。
第1テーマで個々の参加メンバーが、「リカバリー目標」をたてたあと、毎回のセッション終わりに、それぞれ個々人のたてた「リカバリー目標」に沿った内容の「チャレンジ課題」を決めると良いです(会合ごとに小さなステップで目標に向かっていけるような、達成可能なチャレンジ課題にすることがコツです)。
特に、月1回となると、次の会合までの間があくことになります。日々の生活の中で、「できるようになると良いな」と思われる、達成可能な課題を設定することが大切です。
そして、次回の会合のはじめに、チャレンジ課題の遂行状況を確認することがおすすめです。是非、少し意識して行ってください。
IMRとは「リカバリーの病気の自己管理」プログラムのことです。
支援者が比較的気軽にはじめられるEBPプログラムとして、世界各地、及び国内で普及してきています。
IMRの普及がすすむと、精神障害者当事者の方が、より体系的に病気のことについて知り、考え、自分で自分のケアをしやすくなると思っています。
専門家がIMRの実践をするときに、使いやすい配布資料があると、標準化された形で、より気軽に、より適切な形で提供することができます。
精神保健福祉の現場で、精神障害者当事者が、リカバリーについて語り、病気の理解をすすめ、病気とうまくつきあっていけるよう、その歩みをすすめられるように支援できるのがこのプログラムです。
IMR研究会
IMR研究会
〒181-0015
東京都三鷹市大沢3-10-20
ルーテル学院大学
気付
IMR研究会
責任者:福島喜代子
(総合人間学部教授)
0422-33-6405
recoverynokotsuアットマークyahoo.co.jp
*23年7月8日に@以下を変更しました
ご連絡・お問合せはできるだけ電子メールでお願いいたします。FAXもお受けします。